フグ

 フグの旬は秋の彼岸から春の彼岸までといわれるが、やはり真冬が最高である。
 最近ではフグという呼び名はフグ(不俱)につながるということから濁点(だくてん)をとって縁起のよいフク(福)と濁(にご)らなくなってきた。
 中でも絶品とされるトラフグのテッサ(刺身)に、テッチリ(鍋)は高級料理として人気があるが、内臓や血液にはテトロドキシンという猛毒があり、場合によっては命にかかわることもある。
 関西ではフグにあたると死に至るところから「鉄砲」とも呼ばれ、昔は“測候所、測候所”と唱(とな)えて食べると当たらないという笑い話があった。
 かの松尾芭蕉も「あら何ともなきや きのうは過ぎて フグと汁」という俳句を詠んでいる。
 外国人からはフグ料理に対しクレージーという言葉が返ってくるようだがフグの業界では海外の人にもフグの魅力を広めたいという。
 下関出身の奥さんを持つ先輩は嘘(うそ)か誠かお酒の席で唇(くちびる)に軽いしびれと震えがくるくらいのものが丁度よいと語っていたが多分本当の話しであろう。
 冗談なのか本当の話なのか確認しておけばよかったが「フグは食いたし、命は惜しし」といわれるように確かにフグ料理には魔性の女のような魅力があるように思える。