天気図の顔

 気象という仕事に携(たずさ)わって約40年天気図とにらめっこをし、数知れない描画作業も行なってきた。
 現代は数値予報といってコンピューターによる天気予報に代わってしまったが天気図からの経験や実体験から見てもやはり地球は温暖化に向かっているとしか思われない。

私の体験談から

  • 子供の頃の梅雨といえば童謡唱歌などでも歌われたようにシトシトとした陰鬱(いんうつ)な雨が多かったが今は晴れ間の多い陽性型の梅雨が多くなった。
    気象庁では昔、日本の四季に梅雨を加えて五季にしようという検討がなされた。
  • 我ふる里でも晩秋になると毎朝のように濃霧が発生し、冬はそこそこの雪が積もることもあったが今は両者ともほとんどなくなってきた。
  • 陸の孤島と呼ばれた「北陸豪雪」、世界最高の積雪記録を持つ伊吹山測候所で勤務中の職員が雪崩(なだれ)に合って殉職(じゅんしょく)した話、スキー場の雪庇(せっぴ)をダイナマイトで崩していた体験などからも昔のような豪雪は近年では見られなくなった。

天気図の顔

  • 冬の大陸高気圧の示度が下がってきた。
    昔は1070~1080ヘクトパスカルという数字も見られていたが今は1060ヘクトパスカルを超えることはなくなってきた。
  • 気圧配置で「引きの冬型」は現れても「押しの冬型」は見られなくなった。
    このことはオホーツク海での低気圧は発達しても大陸奥地で強い高気圧が育たなくなったという事であり、北極方面で強い寒気が溜まらなくなった事を意味する。
  • 「北冷西暑」という気圧配置が見られなくなってきた。
    これは西日本方面は猛暑だが北陸及び・関東以北では冷夏というパターンが見られなくなった。
  • 「クジラの尾っぽ型」という気圧配置が見られなくなった。
    これは夏の太平洋高気圧がクジラの尾っぽのように西日本北方まで張り出す夏の気圧配置のことであるが近年はすっかり見られなくなった。
  • フィリピン近海で発生する台風は大したことはないと言っていたが近年は急発達することが多くなった。

 今は天気予報も数値予報時代となり人間が判断することはなくなってしまったが見方を変えて過去の天気図の顔を分析してみると気候変動の面白い結果が現れるかもしれない。