ラジオ深夜便

 私が天気キャスターとしてメデイアデビューしたのは大変な晩生(おくて)で40歳からであった。
 関西のN局とM局が担当し途中、テレビの方も二局ほど経験したがこちらの方は喋りも動作も若者のようにはいかず短命に終ってしまった。
 以来、カンニングが出来るラジオが中心の仕事となるが退職後のある日、園芸店に立ち寄ると長年お世話になった番組が流れており、偶然の会話から店員の方と話がはずむことになった。
 その園芸店では毎日ラジオを聴きながら仕事をしているということで私のこともよく季節の話題をしていた方ですねと覚えていて下さった。
 ラジオというメデイアは映像がないためにどうしても想像力をかき立たされ、同じ番組を何年も聞いていると不思議な親近感が湧いてくる。
 今日の担当は面白い人かな?、ダジャレの人かな?などと年齢から風貌(ふうぼう)までも想像して聴かれる人が多い。
 長年やっていると聴視者がやさしく見守ってくれているような雰囲気が伝わってくる。
 私の場合は今も就寝時になるとラジオのスイッチは切るのではなく入れて寝ることにしている。
 その理由はNHKの「ラジオ深夜便」という番組を夢うつつで聴くためである。
 中でもベテラン・アナウンサーの穏やかな語り口調と昔懐かしい「日本の歌・心の歌」という番組には心を癒(いや)される。
 この番組は年配者中心の知る人ぞ知る隠れ番組ともいえるが大変な人気番組であり、ラジオ深夜便の集いから深夜便の本までが出版されている。
 この番組はいかな深夜便とはいえPRも広告もなしに毎晩200万人を超える聴視者がいるというから驚きである。
 その魅力は一体何なのであろうか。
 一時期は私も本まで購読するファンであったが今も深夜便は生活の一部として欠かせない存在となっている。