欧米コンプレックス

 日本は幕末のペリー来航以来欧米列強国を機械文明の先駆者として崇(あが)め、追いつけ追い越せを目標としてきた。
 その後、太平洋戦争においてはアメリカを中心とする連合国に完膚(かんぷ)なきまでに叩(たた)きのめされ、敗戦後の日本人は余りにも自分を卑下(ひげ)し欧米崇拝に傾くことになる。
 私が二十歳のころに入院先の病院でノルエーの船員さんと3日間ほど同室になった事がある。
 背が高い、肌が白い、金髪で目は青く、顔つきが精悍(せいかん)というだけで圧倒されてしまっていた記憶がある。
 当時は神戸であっても外国人は珍しく、余りの恰好の良さと風貌(ふうぼう)だけで位負(くらいま)けしていたことを覚えている。
 言葉が分からず会話をすることは殆どなかったが一日に何杯もコーヒーを飲んでいた事にもカルチャーショックを受けた。
 「島国根性」とは外国との付き合いが少なく、視野が狭いという意味であるが正にその通りであった。
 東南アジア諸国が簡単に欧米列強国に支配されたのは文明の差だけでなく先進国に対しての劣等感(コンプレックス)があったからともいわれている。
 その後、日本社会においては欧米志向が益々強まり、日本文化に変わって欧米文化が急速に浸透することになる。
 童謡唱歌が消え、時代劇が消え、街には横文字が氾濫(はんらん)することになる。
 グローバル社会の中で日本文化が消えゆくのも時代の流れであるが寂しさは拭えない。
 救いといえば日本人よりむしろ海外の人の方が日本の歴史・文化に興味を持ってきていることであろう。