日本の食文化 ②

 日本人は食事をする前に「頂きます」、食後には「ご馳走さまでした」と感謝の気持ちを表す。
 「頂きます」の方は動植物にしろ魚貝類にしろ命を頂くことへの感謝の心であり、「ご馳走さまでした」の方は読んで字の如く走り回って食材を集め、心を込めた料理をもてなして頂き有難う御座いましたという感謝を表した言葉である。
 日本人は何事においても繊細であるが食事作法についてもお箸の使い方、器の置き方、お椀(わん)の持ち方、食べ方・・・等、事細(ことこま)かに決められているが基本的には品の良さが問われるのであろう。
 子供の頃にお箸の持ち方は勿論であるがよく「立膝(たてひざ)は行儀が悪い」、「犬食いはするな」、「迷い箸はするな」などと注意され、時には手が飛んできた。
 外国人からは日本人が蕎麦(そば)やうどんを食べる時に音を立ててすする姿に下品だという声が多く、海外出張の多かった友人は何度も白い目で見られたと語っていた。
 ところが日本人の繊細さや美学はそんなに簡単なものではなくちゃんとした理由がある。
 つまり蕎麦(そば)もうどんもダシ汁と一緒に口に入れた方が味が馴染(なじ)んで美味しくなるということ、一気にすすった方が食べやすいということ、猫舌(ねこじた)の人などには熱さ調整も出来るということである。
 日本人からすると蕎麦やうどんは豪快にすする方が味わい深く理にかなっており、ウニャムニャ、モタモタ食べる方がむしろ品がないということになる。
 もう一つ日本人ならではのこだわりがあるのは握(にぎ)り寿司である。
 高級な寿司屋さんだけかもしれないが握りずしを食べる際に箸を使わず手づかみで食べることがある。
 これも賛否両論があると思われるがこちらの方は日本人からも品がないと見る向きもあるが心を込めて握って頂いた寿司の形が崩れたり落としたりしないようにという配慮と醤油の量も調整しやすいためだということである。
 今、海外観光客の人気となっているのは握り寿司、和牛、懐石料理、麺類などであるが日本流の食文化にはそれぞれの理由があることを外国人には説明する必要があるのかもしれない。