三つの坂と三つの心理

 人生には三つの坂があるという。「上り坂」、「下り坂」に加えて「まさか」である。
 その「まさか=魔坂」が阪神・淡路大震災に続き、東日本大震災でも起こってしまった。
 日本列島周辺は北米プレート、太平洋プレート、フィリピン海プレート、ユーラシアプレートの四つの岩盤が凌(しの) ぎを削る地域に当たっているが、それにしてもここ二十年余りの記録的な大地震や火山噴火の頻発は、一体地球の内部で何が起こっているのであろうか。
 人は誰しもが「正常性バイアス」に「同調バイアス」、そして「愛他行動」という三つの心理を持っているという。
 「正常性バイアス」とは、すぐそこに身の危険が迫っていても自分だけは大丈夫という心理、「同調バイアス」とは、自分以外に大勢の人がいると周りの人の行動に流されてしまうという心理、「愛他行動」とは、自らを省(かえり) みず他人を助けようとする心理のことをいう。
 中でも東日本大震災に伴う大津波では、この三つの心理と「まさか」が被害をより大きくしてしまったことは否(いな) めない。
 自然災害が予想される場合には市町村から「避難準備情報」、「避難勧告、「避難指示」が発表されるが、いざ状況判断をし、行動を起こすとなるとなかなか難しい面がある。
 いくら適格できめ細かな情報であっても、混乱状況の中ではこの三つの心理を含めた判断でなければ適切な行動は取れないような気がする。
 気象庁は平成二十五年度に、数十年に一度というような大災害が起こる恐れがある場合に発表する「特別警報」なるものを新設した。「ただちに命を守る行動をとって下さい」と言われても、いざ身の回りを見渡した時に、具体的にどんな行動を取ればよいかが問われることになる。
 いよいよ災害シーズンだが、最終的には住民一人一人が「まさか」に備えて、自分の住環境を見すえた「想定問答集」を頭に入れておくことが最も大切なのかもしれない。

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