四季と日本文学

 日本語は語彙(ごい) が豊かであり、しゃべり言葉は七五調がしっくりくる。
 この両者と四季の万象を綴(つづ) った、世界で最も短い文学が俳句である。「五・七・五」のリズムの中に季節の言葉を入れて風趣を詠み込むという感覚は、明瞭な四季を持つ日本ならではの文学であり、一時期は一億総詩人といわれたこともあった。
 あの小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は「言霊(ことだま) の日本」で、日本人は自然を愛し、上流階級も庶民もすべて詩を作ると紹介している。
 外国語と七五調と季語の機微(きび) はよく分からないが、俳句ファンは世界的にも多く、今も広がりを見せているという。
 日本人が持つ情緒だとか奥床(おくゆか) しい表現という点においては、外国の人からみても魅力を感じるのであろう。クロアチアにいたっては小学校の教科に俳句を取り入れているという。
 そこで俳句の魂(たましい) ともいえる季語であるが、先人達は実に鋭い感覚で季節を捉(とら) えており、日本語が美しいといわれる所以(ゆえん)にもなっている。
 これからの季節の雨だと「桜雨(さくらあめ) 」から「穀雨(こくう) 」、「緑雨(りょくう) 」、「五月雨(さみだれ) 」へと変わり、風に関しては「桜まじ」、「薫風(くんぷう) 」、「緑風(りょくふう) 」、「青嵐(あおあらし) 」などとなる。更に体感表現としては「花冷え」、「木芽冷え」、「若(わかざ) む」、「梅雨寒む」と続く。
 四季の移ろいを生活の中に取り込み興趣(きょうしゅ) に変えてきた日本人は、とにかく季節感に鋭い。
 和歌にしろ俳句にしろ、詩心を駆り立てる美しき日本の四季が、世界に類をみない情趣(じょうしゅ) 豊かな日本文学を育ててきた。

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