四季の味

 近年、和食が世界的なブームになっているが、日本人は昔から目で食事をするといわれ、五感をもって四季の味を楽しんできた。
 四季の味とは「春は苦味、夏は酸味、秋は辛味、冬は油味」である。季節ごとに身体が欲する味覚を見事に表現している。
 また、日本料理の基本は五行説(自然思想)からの五味・五色・五法から成り立つとされている。五味とは「甘い・酢っぱい・辛い・苦い・カン(塩辛さ)」であり、五色とは「赤・青・黄・白・黒」である。そして五法とは料理方法のことであり「生(なま) ・焼く・煮る・揚げる・蒸す」となる。
 懐石(かいせき) 料理などでは、季節を演出するのは旬の食材だけでなく〝つま〟であり、〝香り〟である。この時期の山椒(さんしょう)の若芽や秋の柚子(ゆず) などはその代表格であろう。
春の食材といえば、ワラビ・タラの芽・独活(うど) ・筍などアクの強いものが多いが、同時に郷愁を誘うものが多い。春の山菜は決して万人好みとはいえないが、不思議なことに齢を重ねるごとに、ほろ苦い思い出と共にお袋の味と結びついてくる。
この季節に降る雨は「木の芽起こしの雨」と呼ばれ山菜達を育てる。
  「ふる里の あの野に馳せし 初こごみ」(季香子)

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