山野草の生け花

 定年後、地域活動として高齢者施設や介護施設などに生け花指導に出向いていた。今も一部で継続しているがタイトルは「季節を生けてみよう」である。
 季節ごとの草木花を通して、遠くなったあの日あの頃の古里を思い起こしていただければと思って始めた。従って花材は参加者の持ち寄りと何処にでも見かける山野草であり、お金をかけることはない。当初は花器も百円ショップの物や使用しなくなった徳利・空きビンなどで代用し、剣山は参加者任せ、ハサミは事務用のもので間に合わせていた。生け方は各自が好きなように生けていただく「自由花」である。
 春は少し郊外に出向くと名も知らぬ草花に蔦(つた) もの、枝もの、葉ものなど、山野草の多さに驚かされる。一時間も散策すると、気にも留めなかった季節の草木花達がすぐにゴミ袋一杯となる。
 山野草は楚々(そそ) としたものが多く、派手さはないが生け花は初めてという方でも、草木花の方から見事な調和を演じてくれる。勿論、出来栄えは上々であり、談笑がはずむ。
 花屋さんには申し訳ないが「花は足で生けよ」といわれたように、本来は自然の花材が 基本であり、むしろその方が季節の趣が楽しめる。

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