花粉症

 繊細な心使いを英語でデリカシー!日本人の最も美徳とするところでもある。
 人前や電車内での咳やくしゃみにしても、日本人は手やハンカチを口に当て遠慮勝ちに するのを礼儀としている。ところが、花粉症ともなるとなかなかそうはいかない。
 体験談であるが、クシャミが頻発(ひんぱつ)、鼻水がとめどなく流れ落ちてくると、他人の事など構っておられなくなる。毎年花粉シーズンになると、ラジオの天気対談で花粉の飛散情報を伝えてきたが、その本人が「カフ」を上げ下げしながら鼻水と葛藤(かっとう)していた姿は、今から思うと笑止千万(しょうしせんばん) である。「杉山」の名前を聞くだけで鼻がむずむずした人がいたかもしれない。
 花粉は、雨が上がった後の乾燥した晴天日や風の強い日に飛散量(ひさんりょう) が多くなるが、花粉症の人にとってそんな日は正に「悲惨(ひさん)」であり、恥も外聞もなくなってしまう。
 スギ花粉は年によって飛散量や最盛期が異なるが、大体三月中旬から下旬にピークを迎える。その昔は花粉症という言葉すらなかったが、今は国民病とまでいわれるほどに蔓延(まんえん) している。
 花粉症患者が増え始めたのは昭和四〇年代からであっただろうか、日本気象協会神戸支部と兵庫県下の耳鼻科の先生方の協力で、日本で最初の花粉観測がスタートした。当時は一平方センチのプレパラートの中に付着した花粉の数を顕微鏡で数えていたが、今は自動観測に切り替えられている。

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