空が和(なご) み、海がたゆたい、山が笑う。
 野に下萌えが始まり、川はかろやかな瀬音を聞かせる。
 日本の代表的な早春風景である。
 自然はこれら万象が混然(こんぜん)と溶け込んだものであり、全体として春という季節を醸(かも) し出す。その季節を彩るそれぞれの立役者が、最も多くなるのが春といえる。
 今年もそこここで、なまめかしい春の香りが漂う季節となってきた。
 ところが一つとして同じ春はやってこない。難産な春があれば気まぐれな春もあり、陽気な春があれば陰気な春もある。
 春は希望を孕(はら) んだ新しい季節のスタートであるが、命あるものはいずれ冬という季節を迎えざるを得ず、それまでには何が待ち受けているか分からない。
 分からなくともよい!人生分からないほうが面白い!まずは心に残る春であればよい!

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