開花予想と桜前線

 気象庁は「春一番」から「桜の開花予想」、「梅雨入り梅雨明け」、「木枯らし一号」などを発表してきた。国の機関がこういった情報を発表する国は世界広しといえども聞いたことがない。いかに日本人が、季節の移ろいに関心を持つ国民であるかが伺える。
 中でも桜の開花予想は注目度が高く、春を待ちわびる国民の文化的存在となっていた。
 ところが、そのお上のお達し的な存在であった気象庁発表の開花予想は、平成二十一年をもって長い歴史に幕を閉じてしまった。民間の気象会社と競合することになったためである。
 開花予想というものは競い合ったり、当たればよいというような性格のものではなく、国民が春への期待感やロマンをもって見守るものと思っていただけに、何と無粋なことをしたものかと思ったものである。
 以来、桜の開花予想はニュース性も国民の注目度も薄れてしまった気がしている。
 そんな桜前線であるが、南北に長い日本列島はソメイヨシノの一種類だけでは賄(まかな)えない。そこで桜前線は沖縄の緋寒桜をスタートに本州から北海道南部までのソメイヨシノ、北海道中部のエゾヤマザクラ、そして北海道東部のチシマザクラまでの異なった種類の開花を結んだものとしている。
 この中で最も注目されるソメイヨシノは二月以降の積算温度が最高気温で600度、平均気温で400度で開花するといわれている。その昔は予測式だけでなく、蕾の重さを量って参考資料としており、何度かお手伝いをした記憶がある。
大阪湾から紀伊半島、播磨灘を望む高台に見事な桜を咲かせていた神戸海洋気象台の標本木が懐かしく思い出される。

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