花屋さん

 普段はあまり気にとめない花屋さんであるが、この季節だけはふと足を止めてついつい 見入ってしまうことがある。そこには「梅」に「猫柳(ねこやなぎ)」、「桜」に「レンギョウ」と一足早い春が溢(あふ) れており、眺めているだけで温(あたた) かな気持ちにさせられる。寒くて長い冬に心が渇(かわ) き、春への渇望感(かつぼうかん)が強いためかもしれない。
 彼らに共通しているのはいずれも裸木(はだかぎ) に直接花を咲かせ、葉っぱがないことである。温帯植物ならではの性(さが) なのかもしれないが、広義には彼らのことを「花木(かぼく)」と呼んでおり、愛くるしく風情のあるものが多い。
 それに引きかえ熱帯地方では太陽の光が強いために、葉が茂る前に花を咲かせるようなことはないという。花の色合いも、温帯から寒帯に比べると明るく情熱的なものが多いような気がするが、それも自然の摂理なのであろうか。
 日本人は昔から何かと季節を先取りして楽しむところがあるが、特に春先の花屋さんはことのほか人気がある。

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