どんど焼き

 一昔前まではあちこちの御旅所(おたびしょ) や神社などで地域総出のどんど焼きが行われていた。
 「左義長(さぎちょう)」とも呼ばれ、地方によっては今も青竹や薪(たきぎ)を立てかけ、老若男女が集(つど)って盛大に行われる。お飾りだけでなく書初めから供え物まで火にくべて、燃え盛る炎に新年の思いを託した。
 歯がたたないほどの鏡(かがみもち) 餅を頬張(ほおば)りながら、カビの発生具合で一年の天候から豊凶(ほうきょう)まで占った。
 子供の頃は縁起をかつぎ、近所のおばちゃんからは賢(かしこ)く健やかに育てと、額(ひたい) に灰を塗ってもらったものだ。
 自然災害国である日本は、昔から地域の助け合いがないと生きてこれなかった。人の繋(つな) がりは篤(あつ)く、地域ぐるみで互いの幸せを案じながら懸命に生きてきた。
 「和を以って貴(とうと)しとなす」は日本社会の原点であったが、近年の都会地では近所付き合いが希薄(きはく)となり、ひっそりと我が家だけのどんど焼きをする家庭も増えた。わずかな灰を玄関先に積んでいる光景に出会うと、人も時代も変わってしまったなと思う。
 地域の絆は、阪神・淡路や東日本の大震災以降改めて問い直されている。

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