ふくら雀

 枯れたセイタカアワダチソウが林立する空き地で、かまびすしく雀が群れている。
 よく見ると、一本一本の枝に一羽ずつ雀が乗っかっている。ふっくらと羽を膨らませ寒 風に揺らぐその姿はひょうきんで微笑(ほほえ)ましいが、餌(えさ)のないこの寒空を彼らはいかに生きているのかと心配になる。
 雀は稲穂(いなほ)が実る頃になると、穂を喰い荒らす害鳥として人と対峙(たいじ)してきたが、雀ほど人との係わりが深く、これほど親しみをもたれてきた鳥はない。
 漢字でも「福来雀」、「福良雀」と縁起の良い文字があてられている。
 チョンチョンと両足を揃(そろ)えて跳ねる仕草は鳥の仲間でも珍しく、実に愛嬌(あいきょう)がある。
 「舌切りすずめ」のお伽(とぎ)話や「すずめ百まで踊り忘れず」の諺(ことわざ)に加え、歌に踊りに祭りまである。「欣喜雀躍(きんきじゃくやく)」という言葉がある。これは雀が小踊りして喜んでいる姿に見立てたとされており、仙台の「雀踊り」は有名である。
 その愛嬌のよさからか、着物の帯の結び方や昔の少女の髪形を「ふくら雀」と呼ぶ。
 この「ふくら雀」の名前の由来は、雀が保温効果を高めるために体に空気を溜め込み、ふっくらとした姿になることから名付けられた。
 日の出が早まり、恋に目覚めるチュン、チュンの声が待ち遠しい。

 

前の記事

雪山

次の記事

どんど焼き