雑節と農事暦

 「雑節(ざっせつ)」という言葉は、普段あまり耳にしないが、立春から大寒までの二十四節気を補完する言葉である。
 二十四節気は太陽の運行を二十四等分し、農事の目安として黄河流域の自然を対象に作られた。ところが、これをそのまま日本に当てはめると気象現象や季節感にズレが生じる。そこで日本の季節変化を更に的確につかむために日本版の「農事暦(のうじごよみ)」として付加されたのが雑節である。
 この雑節の中には節分、お彼岸、八十八夜(や)、土用、二百十日などの耳慣(みみな)れた言葉が並ぶ。例えば「八十八夜の別(わか)れ霜(じも)」といえば立春から数えて八十八日も経てば遅霜の心配がなくなりますよ!という意味である。
 地域にもよるが、ジャガイモであれば八十八夜以降に発芽するように作付けをすれば、霜害(そうがい)に遭(あ)わないということになる。
 農耕の民として生き、楽しみの少なかった私達の祖先は常に四季の移ろいに癒(いや)され、それを心の糧(かて)として暮らしてきた。そんな中から生まれた言葉が「別れ霜」なのであろう。
 この言葉は私が選ぶ「美しい日本語百選」の中に入れている。
                       

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