草木文化

 日本はお正月行事にはじまり、七草(ななくさ)・節分・雛(ひな)祭り・端午(たんご)の節句(せっく)・七夕・お盆・お月見・冬至と年間を通して季節行事が目白押(めじろお)しである。
 面白いのは、そこに登場するのはすべて植物であり、外国のように動物が顔を出すことはない。お正月は(しめ縄・ダイダイ)、七草は(セリ、ナズナ)、節分が(豆)、雛祭りは(桃)、端午の節句には(菖蒲(しょうぶ))、七夕は(笹)、お盆は(ナス・キュウリ)、お月見が(芒(すすき)・芋・栗)、そして冬至には(柚子(ゆず)・かぼちゃ)といった具合である。
 供(そな)え物はそれぞれに意味を持つが邪気(じゃきばら)払いや無病息災を願うものが多い。決して日本人が動物を忌(い) み嫌った訳ではないが日本人が持つ動物へのこだわりや宗教観は欧米諸国とは異なり、神仏行事には血生臭(ちなまぐさ) いものを遠ざけてきた歴史を持つ。
 それを象徴する言葉が日本は「農耕と木の文化」、欧米は「牧畜(狩猟)と石の文化」である。この「草木文化」が、世界一繊細でしなやかといわれる日本国民を育ててきた。日本人は自然を愛し、土と共に生きてきたために季節行事をふり返ってみると殆(ほとん) どが「願い」と「感謝」であり、そこにはかつての先祖達の思いや暮らしが見えてくる。
 子供が持ち帰った家庭通信欄に「冬休みは家庭の行事を大切にして下さい」という文面が載っていたことがあった。年配の先生であったが情操教育を考えての心配(こころくば)りであったと思われる。

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