小春日和と冬日和

 一般に晩秋といえば十一月一杯であり、十二月に入ると初冬と考える人が多い。気象庁の統計期間も秋は九月から十一月、冬は十二月から二月と定めている。
 ただ、実際の天気は杓子定規(しゃくしじょうぎ)には推移しない。気象解説で晩秋とも初冬ともおぼつかないような穏やかな天気の日は、「小春日和」と呼ぶか「冬日和」と呼ぶか、迷うところである。
 小春とは陰暦十月の別称であり、現行歴に直すと十一月に相当するが、年によっては十二月にズレ込むこともある。このため気象用語では小春日和は「晩秋から初冬にかけての暖かで穏やかな天気」と定義されている。
 この両者の使い分けは一応暦も参考にするが、一般向けとしては十二月の声を聞くと冬日和の方が分かりやすいのかもしれない。更に季節が進んでポカポカとした感じがなくなってくると、今度は「冬日和」ではなく「冬晴れ」という言葉を使用した。
 他の国ではそこまで細かい使い分けはしないと思われるが、小春日和の呼び名は世界各地にある。アメリカでは「インディアンサマー」、ドイツは「老婦人の夏」、ロシアが「女の夏」、イギリスでは「セント・マーチンの夏」、フランスが「サンマルタンの夏」というように、いずれも「夏」という言葉が入っている。
 日本で最良の季節といえば春と秋であるが、これらの国の最良の季節は夏であり、日本 の季節感とは大きな隔たりがある。

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