木枯らし

 一般に木枯(こが)らしとはその名の通り、晩秋から初冬にかけて木を枯らしてしまうほどの強い北風をいう。その基準は、霜降(そうこう)から冬至までに吹く北寄りの風であり、風速8メートル以上と定められている。
 「木枯らしの第一陣が吹き荒れました」という表現もあるが、気象界での呼び名は〝木枯らし一号〟、春になって最初に吹く強い南風は〝春一番〟と呼んでいる。
 木枯らしの犯人は主に寒冷前線であって、何度も吹き荒れ、後面には強い寒気を従える。
 今では木枯らし一号以外は報道しなくなったようだが、二号、三号あたりまでは大抵が一過性の強風であり、翌日は移動性高気圧に覆われて穏やかに晴れることが多い。
 ところが、そのうち号数が増えるにつれて、大陸の高気圧は移動性となって日本列島にやってくることは少なくなる。いわゆる持続性の冬型であり、その頃には木枯らしではなく、季節風と呼ぶことになる。
 しかし、この三十年ほどは真冬といえども冬型の気圧配置はすぐに崩れ、大陸高気圧の一部がちぎれて移動性となってやってくることが多くなった。そのためかいつの間にか移動性の高気圧であっても「張り出してきますので」という言葉を使う解説者も増えてきた。
 本来は優勢な大陸高気圧のことを「張り出す」、移動性高気圧の場合は「覆われてきます」というような使い方をしていた。
 ここ数十年で天気図の顔がずいぶん変わってきたなという気がしている。

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