障子

 畳と並んで日本の暮らしと文化を育んできたのが障子(しょうじ)であり、その歴史は遠く平安時代にまで遡(さかのぼ) る。
 障子を通しての陽光は四季を通して柔らかく、何よりも風情がある。
 雪洞(ぼんぼり)が灯(とも) っているような外の気配に障子を開けると、いつの間にか一面の銀世界が広がっていたという経験を持つ人も多いであろう。障子はわずかな雪灯りでもはんなりと部屋を明るくし、外の音までも吸収してくれる。
 夏場は外気熱を半減させ、冬は室内温度を保つ効果がある。夏に涼しく冬に暖かい障子は吸湿効果もあり、湿気の多い日本の気候にはうってつけの代物といえる。
 丸窓や雪見障子によって外の景色を切り取って眺めるという風流さは、日本人ならではの感覚であったが、今ではそれも過去のものとなってしまった。採算面なのか洋風指向なのか、障子そのものを見かけなくなってしまったことがさみしい。
 障子の貼り替えは小春日和の日を選び、一家総出の冬支度であった。

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