畳文化

 畳は古事記や日本書紀などにも登場し、日本独自の文化を育んできた代物といえる。
 畳の語源は「たたむ」であり、日本の座るを旨(むね) とする文化の原点となった。当初は持ち運びのできる座布団(ざぶとん)のようなものであったとされ、上座や高座に敷いて権威の象徴としても用いられた。
 やがて鎌倉から室町時代にかけては、座ったままで外の景色を眺めようとする趣向から建築物にも影響を与えることになる。前栽(せんざい)(庭)文化やお茶・お花が花開くのもこの頃からである。
 室町文化は日本人の生活様式や美意識などに強い影響を与え、今も日本の心として引き継がれている。「花鳥風月」に「侘(わ) び寂(さ) び」、「風雅風趣(ふうがふうしゅ)」に「閑寂枯淡(こたん)」などの言葉は、その典型といえる。
 い草の匂いが香る青畳の部屋に入ると不思議に心が落ち着くのは、日本人の血のせいであろうか。冬支度(ふゆじたく)として掘炬燵(ほりごたつ) のしつらえと同時に行っていた畳干しの風景も、小春の空に木霊(こだま)していた畳を叩(たた) く音も、今ではすっかり心象風景(しんしょうふうけい) となってしまった。
 我が家もそうであるが、近年は畳替えも畳干しも何年もやっていないという家庭が多くなっているのではないだろうか。

 

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