日本の紅葉

 昔懐かしい名曲「美(うるわ) しき天然」の歌詞に「春は桜のあや衣、秋は紅葉 (もみじ) の唐錦(からにしき)、夏は涼しき月の絹、冬は真白き雪の布…」とある。
 日本の四季が実に美しい言葉で表現されているが、中でも世界一といわれ、まぎれもなく美しいのが日本の紅葉である。
 その理由として、日本は落葉広葉樹をはじめとする植生が豊かであること、寒暖暑涼がはっきりしていること、夏が高温多湿であることなどが幸いしているといえる。
 紅葉が美しくなる条件としては、何といっても暖候期に強風や塩害などで葉が傷(いた) められず瑞々(みずみず)しく育つことである。そして、秋になって急激に冷え込みが強まり、気温の日較差(にちかくさ)が大きくなるほどよいとされている。
 「錦秋(きんしゅう)」とは紅葉の美しさから生まれた言葉である。錦とはすなわち奇麗な織物とか美しい糸を指し、それはまるで秋を彩る紅葉のようであるという意味になる。「錦繍(きんしゅう)」と書いても意味は同じであるが、「金秋」となると少々意味合いが異なる。四季の中で最も金に値するのは秋であるということになる。
 いずれも、日本の秋が織りなす紅葉美を表現した言葉である。
「秋山明浄 (めいじょう) にして粧(よそ)ふが如し」は山装う紅葉美を現した言葉であるが、この時期ほど日本の美を意識する季節はない。
 人もまた誰しもが「人生の秋を彩りたい」と願う。

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