予報用語

 日本の気候は四季の変化に加え、天気と陽気の変動が激しいのが特徴である。
 それだけに天気予報は関心の高い生活情報であり、気象庁は一時国民から最も親しまれ る官庁といわれた時期があった。
 予報用語も「冬日」に対し「夏日」、「真冬日」に対し「真夏日」と対の言葉となってお り非常に分かりやすい。
 ところが、平成十九年の予報用語の改訂では様々な物議を醸(かも) した。
 それよりはるか前の話になるが、あるラジオ対談で最高気温が35度を超える日は「酷暑日(こくしょび)」に、日中の最高気温が氷点下5度以下の日は「酷寒日(こっかんび)」という名前にしたらどうかという話をしたことがある。日本語の中に「酷暑酷寒」という言葉はあっても、「猛暑猛寒」という言葉はないからである。
 ところが、最高気温35度以上の日は「猛暑日」と決定された。今でこそ「猛暑日」も馴染みの言葉になってしまったが、仮に北海道などから新たに猛暑日に対する対義語として寒い日の名前を付けてくれとの要望が出た場合には何とするのであろうか。
 同じ年に、「宵(よい) の内」という言葉は分かりにくいという理由から「夜のはじめ頃」という表現に変えた。
 唱歌「ふるさと」の歌詞で「いかにおわす父母」が分かりにくいということから、「いかにいます父母」に変更された例はあるが、さすがにこれに対しては各方面から異論が出た。
 私もその一人であったが、古来引き継がれてきた情緒のある日本語を、なぜ無粋(ぶすい)な言葉に変えるのかという意見が多かったように思う。
 昔の気象庁には文人といわれる人が多かったが、何と受け止めたのであろうか。

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