ホトトギス

 ホトトギスは「目には青葉 山ホトトギス 初鰹」と呼ばれるように、新緑の頃に日本にやってくる夏の鳥である。
 この鳥は「托卵(たくらん)」といって、ウグイスやミソサザイの巣に卵を産みつけて子育てを任せ、最後には巣まで乗っ取ってしまうという謂(いわ) れの多い鳥である。
 「鳴いて血を吐(は) くホトトギス」で知られる正岡子規は、結核を患い喀血(かっけつ)を経験する。そのため、口の中が血のように赤いホトトギスにちなんで、俳句雑誌に「ホトトギス」という名前を付けたとされる。俳号の「子規(しき) 」という名も実はホトトギスのことである。
 こんな話がある。「昔、ホトトギスの兄弟がいました。弟は病気の兄のためにせっせと餌を運んでいましたが、ひねくれ者の兄は自分にこれだけのことをしてくれる弟は、もっと美味しいものを食べているに違いないと弟を殺してしまいました。ところが弟のお腹の中はムカゴ(山芋(やまいも)の実)ばかりでした。それ以来ホトトギスは、オトトキタカ(弟来たか)と鳴くようになりました。」
 子供の頃に祖母から聞かされていた話である。この話の出所を確認していなかったのが残念であるが同じような話は全国にあるようで、「遠野物語」ではホトトギスの姉妹が登場し、妹が姉を包丁で殺してしまうという内容となっている。
 ホトトギスは一般に「テッペンカケタカ」とか「トウキョウトッキョキョカキョク」と鳴くとされるが、「遠野物語」では「ホウチョウカケタ(包丁欠けた)」と鳴くという。
 ムカゴの実が膨(ふく) らむ頃になると、ホトトギスは南の空へと帰っていく。

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