お盆の行事

 現代では考えられないが、母も祖母も結婚は親が決めた相手であった。当時はそれが当たり前でもあった。
 祖母が亡くなって数年後、タンスの奥から祖母の母親が忍ばせていたものと思われる巻物が出てきた。開いて見ると何とそれは色刷りの「枕絵(まくらえ)」ではないか。話には聞いたことがあるが、昔は夫婦の睦(むつ) みごとに対する知識をそんな形で母親が娘に伝えていたという。
 女としてのたしなみなのか慎(つつし) み深さなのか定かではないが、当時の古き日本女性の裏側を改めて見る思いがした。
 明治・大正の女性というのは、何につけても品性と芯の強さを持ち合わせており、家族のために自己犠牲と苦労ばかりの日々を送っていたという印象がぬぐえない。
 そんな中で春は雛(ひな) 祭り、夏は七夕にお盆、秋のお月見に冬のお正月と、子や孫達と過ごす四季の行事が唯一の楽しみであったのではないかと思われる。
 祖母が亡くなって以降はそんな伝統行事も次第に途絶えてしまったが、振り返ってみるといつの間にか日本の心を教わっていたんだなという気がしてならない。
 今では川や海への「精霊流(しょうろうなが) し」の行事はほとんど見かけなくなり、「精霊送り」となったようだが、送り盆の鐘の音と共に常に感謝の言葉を唱えていた母や祖母の声が蘇ってくる。