コスモス(秋桜)

 華やかな都会地より、長閑(のどか) な田園風景が似合う花。可憐さの中に愁色(しゅうしょく)を浮かべる花。この花ほど男心をくすぐる花もない。
 郊外に向かうと、早くもコスモスの花が晩夏の風に揺らめきはじめている。
 コスモスはメキシコが原産とされるが、日本人の感性に合うためか「秋桜(こすもす)」という素敵な和名を頂いている。花弁の色合いも容姿も、これほど日本の秋空に映える花はないといっても過言ではない。
 この花は見た目以上に芯の強さを持ち合わせており、風雨に打ちひしがれた後でも、茎を曲げながらも立ち上がってくる。か弱いようでいて花持ちもよく、生け花にすると途端に部屋中が明るくなる。
 人にも花にも旬(しゅん) があるが、コスモスの旬は息が長い。早咲きと遅咲きはあるようだが、この花は晩秋の頃になっても懸命に可憐さを留めようとする健気(けなげ) な姿を見せる。
 花言葉も「謙虚」・「乙女の真心」・「調和」と花のイメージにふさわしい。
 そんな愛らしさのためか、近年はあちこちにトキメクような秋桜畑や秋桜街道までが現れている。