下駄

 「あーした天気になぁーれ」。
 昔の子供達は下駄を蹴(け) り飛ばし、天気占いをして遊んだ。表が出ると晴れ、裏が雨、横になると曇りであった。
 「天気占い」から「天気予報」の時代に変わっても、予報精度が悪かった頃は、怒鳴り声や脅しなどの苦情電話が頻繁(ひんぱん)に入り、その対応に苦慮したものであった。昔、気象庁には、怒りと揶揄(やゆ) を込めた下駄まで送られてきたことがあったと聞く。
 その下駄であるが、欧米文化の普及に伴って次第に姿を消し、今では夏祭りや花火大会での浴衣姿でしか見られなくなってしまった。
 ところが、蒸し暑い日本の夏にとって、下駄ほどふさわしい履物はないといわれている。何といっても下駄は夏に涼しく、蒸れや臭いが無く清潔なのが魅力である。更には鼻緒があるために健康によく、外反拇指(がいはんぼし)などにも効果があるという。
 下駄から出た言葉に「下駄を預ける」、「下駄をはかす」、「下駄をはくまで分からない」などがあり、囲碁にも「下駄にかける」といった言葉がある。どうもはっきりしない場合や曖昧な時に用いられており、天気占いが語源ではないかと思うほどである。
 裾(すそ)さばきもかろやかな下駄の音も、今は見聞きすることはなくなってしまったが、夏場だけでも日本文化として復活すれば新たな情趣が生まれると思うのだが?

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