食文化

 日本では過去において「四つ足は喰うな」という文化をもっていた。宗教的なものもあるが根幹には意思を持った動物の命を絶つという行為と、命の根幹とされる血に対するこだわりがあったのではないだろうか。
 動物を食料とするのは当たり前としてきた国々でも、血の一滴まで大切にという教えと、血液だけは別ものであるとした教えがある。
 食文化をたどると一般に日本人は菜食農耕の民、欧米人などは肉食牧畜の民といわれてきた。
 歴史や文化・宗教は別として、日本には今も精進料理なるものが継承されている。この料理は肉や魚を使わない単なる菜食主義ということではない。人は動物であれ植物であれ命あるものを食して己の命を保持しているところから、命や殺生を考えると同時に今生かされている自分を戒(いまし) めるというのが基本理念にあるという。
 食事の前にお祈りをするという国は多いが、日本のように「命」をいただくとか、奔走(ほんそう) して人をもてなすという行為に対しての「いただきます」や「御馳走さま」という言葉を持つ国は、世界広しといえどもないという。
 先人達も動物性タンパク質の摂取には大変な苦労をしてきたが、日本では今もお盆の三日間だけは殺生をするなといわれ、仏様に生臭いものを供えることはない。 
漁師さん達はこの教えを頑(かたく) なに守っており、地方によっては今もお盆の間だけは精進料理にするという所があるという。

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