冷暖自知

 いよいよ夏休み。子供達は海に山に里帰りにと、それぞれに思いを馳せる。
 学校における勉強や教科書による知識はほとんどが疑似体験であるが、身をもって知る夏休みの実体験ほど身につくものはない。
 「冷暖自知」という言葉がある。悟(さと) りは人から教わるものではないという仏教用語である。水であれば、「見て」・「触って」・「飲んで」冷暖を知る如く、おのずから会得(えとく)するものというのである。
 ところが今は、農作業や畑仕事を手伝う子供はいなくなり、自然の中で身の危険を感じたり、偶然の発見をすることも少なくなってしまった。子供の頃に体で覚えた経験や感性は、大人になって形を変えて大きな財産となることが多い。
 そのためかルソーは、「子供は自然の中で育てよ」と語っている。生きるための知識や知恵も自然に養えると考えてのことでもあろう。
 教科書からの受け売り話に比べ、実体験の話には重みと説得力がある。子供達には夏休みこそ自然の中での「冷暖自知」と「五感磨き(ごかんみがき)」を体得し、自分のものとして育ててほしいものである。

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