夏至祭

 世界地図を広げると、北極圏(北緯66度33分)には点線が記されている。
 この地方では明と暗の季節がはっきりしている。冬の間は昼なお暗きという時期があるのに対し、夏場になると夜中になっても本が読めるほどの明るさが続く。片や太陽が昇らない「極夜(きょくや) 」であり、片や太陽が沈まない「白夜(びゃくや) 」である。
 地球が23.4度傾いて太陽の周りを公転しているためであるが、「夏至」は太陽が北回帰線までやってくる日にあたっている。一年のうち最も夜が短く昼の長い日であり、いわば季節の折り返し点にあたる。
 日本では、夏至を境に悪名高き蒸し風呂のような季節を迎えるために余り歓迎されないが、緯度の高い北欧などにおいては、暗く長かった冬から解放された喜びを「夏至祭」として老若男女が盛大に祝う。
 爽快な季節到来への歓迎、神や太陽への感謝、健康祈願などの思いが込められる。世界各地で太陽信仰の歴史をもつが、太陽への執着は極に近い人ほど強く、あのバイキングは当初、太陽を求めて航海に出たと伝えられている。
 そんな環境のためかスウェーデンには「自然享受権(しぜんきょうじゅけん)」といって自然は誰のものでもなく、人や生き物が等しく享受(きょうじゅ)できる権利があるという法律まで施行されている。
 馴染みは薄いが、日本でも長野県や北海道の一部に夏至祭があるという。

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