田畑

 日本は瑞穂(みずほ) の国と呼ばれ、我々の祖先は田畑に糧(かて) を求め、田畑と共に生きてきた。
 苦労ばかりの人生を「一生懸命」に生きてきたが、この一生懸命という言葉は本来、所領を守って懸命に生きるということであり「一所懸命」という字があてられていた。
 農耕の民は遊牧の民とは違って、家と土地にしがみついて生きてきたために、現代のように旅行に出かけるとか何日も家を空けるということはなかった。
 土地と作物への思いも半端ではなかった。
 田に力と書いて「男」、田に心と書いて「思う」。機械文明など皆無であった時代は男手が不可欠であり、家族全員で収穫までの無事を祈る思いは尋常(じんじょう)ではなかった。現代は男らしい男の仕事が少なくなってしまったが、当時の女性や子供達は男の背中が大きく、頼もしく見えたに違いない。
 一方、畑の方は火に田と書く。こちらの方は最初の農業形態とされる焼畑から名付けられたか、もしくは水を張ることがないために田が焼けてしまうという意味があったのではないかと思われる。
 今年も各地で田植えが始まるが、収穫の秋までは短いようで長い。「秋」という字には収穫を祝うという意味が含まれているが、その間、最も心配されたのが気象災害であった。

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